エッセイ 2002.4~2010.1
祭りのあと
身の回りで考えたい環境問題
ここは決してゴミ捨て場ではありません
毎日のようにウォーキングしている淀川の堤防です
先日、花火大会があり翌々日に堤防に行ったときの写真です
夜暗い中で見上げる花火はとてもきれいですが、夜が明けて真実をさらけ出すとこんなもんです (2005.8.9)
今なお残る下町情緒~中津
ハレの場に変わる道
私の住んでいる大阪の中津では、夏季シーズンの月の3の付く日(3日、13日、23日)の夕、露店が立ち並びます
特に、今の時期、7月13日、14日の富島神社の祭りに合わせて、露店の数も最大になります
ごく普通の住宅地の中の歩行者道路脇に、金魚すくい、たこせん、わた菓子、カステラ、輪投げ、スマートボール、・・・
京都育ちの私の子どものころは、祭りのときに神社の境内でしか体験しなかったことが、 ここ中津では住宅地の中で行われていて一瞬にして楽しげな空間に変わるのが面白いです
サーカス小屋が、1日にして立ち、また去ってゆく光景にも似ています
テレビゲーム世代の現代っ子にとっても日常とは違う光景が楽しいようです
急に現れた店を、興味深そうに覗き込んでいるのを見ていると、 こんなにいっぱいの娯楽の溢れている現在でもアナログな人と人が触れ合えるそういった場が大切に思えます
私自身、いまだにわくわく感があります
中津は、一歩路地を入ると長屋の残る下町情緒のある町です
ただ最近高層のマンションが建ち始めて町の風景も変わりつつあります
高層ビルが建っても、住宅街の道がきれいに整備されても、なつかしい気がする、こんな情緒は残しておいてほしいものです
子どもが一番楽しみにしてるものですから (2005.7.14)
巣づくり
ツバメの巣
最近リフォーム工事が始まった住宅の玄関の軒にツバメが巣をつくっています
照明器具の上につくられた巣の中から親鳥が餌をもってっくるのを来るのを待つヒナが4匹、大きく口を開けてピーピー鳴いています
ツバメのヒナを移動するわけにもいかず、どうやら外壁の改装工事は、このヒナたちが巣立つのを待ってから、そのあとになりそうです
工事の遅れも仕方ないですが、ツバメの親子が新しくなる家に幸せを運んできてくれたかと家の人と話をしていました (2005.6.24)
愛知万博 2005
自然の叡智
2005年3月25日から35年ぶりの日本での国際万国博覧会が愛知で行われています。
35年前、大阪で行われた万博のテーマは「人類の進歩と調和」でした。
アポロが月から持ち帰った月の石が行列を作る展示物となり、動く歩道が作られ、この万博は高度経済成長を目指した日本の進む道を楽観的に示していました。
大屋根をもったお祭り広場や各パビリオンの当時最近技術などを使った建築も今では当たり前のように使われています。
アメリカ館は東京ドームに、お祭り広場は大スパンのイベント会場やガソリンスタンド、カプセルホテルの原型もありました。
今回の博覧会のテーマは「自然の叡智」です。
35年前とは世の中も大きく変わっています。
他国との距離がすごく近くなってきています。大阪博では会場に来ている外国からの観光客を見ただけで当時の子どもはサインを求めたくらい外国の人はめずらしく、外国は遠い海の向こうだったのです。
その後日本も裕福になり、海外旅行も容易に行えるようになり、テレビの多チャンネル化、インターネットなど世界各地の情報もどんどん入ってきます。
他国が近くなり緊密になった分、経済発展のための地球資源の破壊も各国だけの問題では済まされなくなっています。
まさに地球規模の問題なのです。
愛知博の宣伝では、マンモスやロボット、リニアモーターカーなどがクローズアップされています。
単に目新しいものを見に行くというだけではなく、それらの展示物の裏にはある省エネルギーや環境への配慮など、博覧会に行く際はぜひその部分も見てきたいものです。
簡単に情報が得られる現代に、わざわざ足を運んで「実際のものを観る、触れる」ということに博覧会の価値はあると思います。
それだけのクオリティのある展示であってほしいものです。 (2005.3.27)
謹賀新年~酉年
海の中を飛ぶ鳥~ペンギン
今年はとり年ということで、鶏じゃあないですが飛べない鳥、南極に住むコウテイペンギンの話をします。
3~4月、相手を見つけて夫婦になります。メスペンギンが5,6月頃1個卵を産むと、その卵をオスに託し、餌を得るため数百キロも離れた海へ向かいます。
巣を作らないコウテイペンギンのオスは卵を足の甲の上に置き、たるんだおなかの皮(抱卵嚢ほうらんのう)で包みます。
6,7月は南極の真冬、気温は40度以下、太陽も顔を出しません。ブリザードに襲われると身を寄せ合って暖をとり、立ちつくしてひたすら卵を温めます。
約2ヵ月後ヒナがかえる頃、メスは餌を飲み込んで帰ってきます。小さなヒナをメスに渡すとオスは交代して海へ向かいます。
オスは通算4ヶ月の絶食で体重は40%以上減っています。
ヒナたちは集まって「クレイシ」と呼ばれる保育園をつくります。寒さからは身を寄せ合って身を守ります。
コウテイペンギンは巣を作らないので縄張り意識もありません。ですから他のヒナが寄ってきてもいじめたりしません。
こうして親に暖かく見守られながらペンギンは成長していきます。
昨年は中東で争いが続き、自然災害でも多くの命が失われました。
今年、阪神・淡路大震災から10年目を迎えます。私自身その中心地である兵庫県西宮市で被災しました。
状況は違うにせよ、災害にあうことの恐ろしさや悲しさはわかっています。
一刻も早くボーダーレスな世界になって、人と人とが身を寄せ合いながら助け合える世界になることを祈っています。
今年もよろしくお願いします。 (2005.1.2)
家づくり=米づくり
季節を感じた家づくり
滋賀県の水口町は、タヌキでお馴染み信楽焼で有名な信楽の近くにあります
この地で住宅がようやく完成しようとしています
草津から支線に乗り換え、到着した駅から田んぼの中の山道をてくてく30分歩いて現場まで通ってました
事務所から約2時間の道のりです
9月のなかば、完成間際の現場を訪れる途中、早めの稲刈りをしている風景に出くわしました
そういえば基礎工事をはじめた頃、田植えをしている農家の人たちの姿を目の横にしていました
例年にない今年の暑い夏、田んぼのカエルの鳴き声や、山の森から聞こえる蝉の合唱を聞きながら汗を流しながら通ったことも思い出します
車が2台ようやくすれ違えるその狭い道には、いま、山の林から栗が道に転がってきています
住宅を1軒建ててる間に季節の移り変わりを体験できました
都会で建ててる時は気が付かない風景です
稲を植えて収穫までの作業と、住宅の基礎から完成までの工事がだぶって見えました
米を作ると同じように手間ひまかけて1件の家ができあがっていきます
空気はきれいだし、都会であくせくしている気持ちをリフレッシュできる田舎暮しもいいかもしれません (2004.10.13)
オオアリクイ
自然と共存するオオアリクイ
先日テレビでブラジルの草原にあるアリ塚についてのドキュメンタリー見ました
シロアリがつくるアリ塚(巣)が草原に何万と立ち並ぶ光景は生物界の建築家のつくる建築として面白く見ました
そのアリ塚のある草原地に住むオオアリクイはシロアリを食料としていてその鋭い嗅覚をもってたくさんいるシロアリの塚を嗅ぎ当てます
硬い塚の表面をかりかり長い爪でかきながら長い舌を突っ込んで食事にありつきます
1個のアリ塚では1分間150匹程度を食べて次のアリ塚に渡り歩く
この結構控えめな食事は、少しづつ食べることでアリが回復するような配慮かららしいです
彼らなりの知恵がそこにはあるんですね
自然を喰い尽くさないことは自分が生きて抜いていくということでもあるんです
自然の恩恵を受けて生かされてる人間も自然界のほんの一部です
捨てるのが当たり前の飽食な世界になってるためもったいない意識はなくなり、有り余っているのが日常になっています
自然界の一部として生きていることを考えなければ思わぬしっぺ返しを受けちゃいます
大衆魚イワシがやがては手に入らなくなる高級魚になるような話を聞くとその前触れかと思ってしまいます (2004.5.15)